« 2010年1月 | トップページ | 2010年3月 »

2010年2月

2010年2月24日 (水)

『ゴッドファーザー』──美しきアル・パチーノ

 東宝系のデジタル・リマスターによる、『午前10時の映画祭』で、今日見ました。テレビなどの放映で部分的に見たことがあったけど、完全な作品として劇場で見たのははじめて。

 知的で物静かでおとなしい堅気の末っ子マイケルが、「いかにしてドンになっていくか」の話。キレやすい長男ソニー役の、ジェームズ・カーン、養子の弁護士トム役の、ロバート・デュバル……みんな、若い! とくに、アル・パチーノと、ロバート・デュバルは、憂愁を湛えた青年で声も若々しい。ご両人とも、今のヨレヨレのオジン姿が、信じられない(笑)。

 この作品は、70年代当時見るのと、2010年の今見るのとでは、意味合いが違ってくる。暴力は思ったほど激しくない。むしろ美しい抑制が効いている。そして、なにより、「助演」の三男マイケルが、主役のように見える。これは、マイケルの、青春物語なのだ。編集も、構成も、脚本も完璧である。監督のコッポラは、33歳の若さで撮りあげた。これほど完璧な作品を撮ったためか、その後、本作以上の作品がない。ひどい失敗作もいくつかある。あの有名なテーマ曲のノスタルジックで甘いメロディーととも、時のうつろいゆく早さを思わせる。

 ああ、アル・パチーノがあんなに美しかったとは……。いまの、ジェイク・ギレンホールに生き写しのまなざし……惚れた(笑)。時間とは、まったく不思議なものだ。
 そのパチーノが、シシリー移民の子とあれば、彼の実際の半生とも重なる。睡眠時間1時間で見にいったけど、眠る場面がなかった(笑)!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年2月 4日 (木)

『ラブリー・ボーン』

 「ダークファンタジー」なんだそうであるが、どちらかというと、犯人捜し、というより、すでに犯人はわかっているのだが、警察がいかに犯人に気づくか、までのサスペンスを、殺されてしまった少女の無念の思いを、霊界(?)から伝えるという不可思議な映画になっている。画面は美しい。凡庸な「映画評論家」は、名子役、シャーシャ・ローナンを褒め称えるだろう。『つぐない』で、いかにも残酷な少女を演じた、この若き女優は、なるほど演技派である。だからこそ、この話題作の主演に選ばれたのだろう。
 私はもう少し深く、この作品のサスペンスを成り立たせているものについて考えてみたい。それは、犯人の気持ち悪さである。この犯人は、物語の早いうちから、観客には犯人とわかる。一部の登場人物にも、それとわかる。犯人がいかに少女を殺し、いかにその犯罪を隠すかというサスペンスが、少女の霊界ファンタジーとサンドイッチになっている(笑)。それで混乱する観客もいるかもしれない。
 しかし、あえて言えば、本作は、たぶん、気持ち悪い犯人を演じた、スタンレー・タッチの演技にかかっている。このオジサンがキモければキモいほど、少女の生は美しく輝き、物語もまた、感動に変わる──。
 よって、今回のアカデミー助演男優賞ノミネートとなった。おめでとうございます。
 次回作(は、すでに撮られているかもしれませんが)以降、FBI捜査官とか、そういう正義の味方で、ぜひ、お会いしたいです(笑)。
 しかし、やっぱり、ハリウッドのプロたちは、目の付け所が違う! 

 *****

 「お写真」は、プルーストセンセイと@オルセー美術館(2009/12/27)

Hp0912_1


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年2月 1日 (月)

茂木健一郎著『「読む、書く、話す」脳活用術』

 自己啓発系の本が書店の一角を占め、しだいに広い範囲に、あたりまえのジャンルとして位置を占めるようになってから久しい。ビジネスで成功した人々の「サクセスへ道」、億万長者の「金持ちになる本」、「東大」と銘打った「学習指南書」……などなど、世の中、どうも、勉強しないことにはにっちもさっちも行かないらしい。というのも、情報洪水の中を、ノアのように、泳ぎ切らなければならないから。
 一方で、自己啓発本の「ウソ」を「科学した」本もある。一応見てみたが、対象は、「ごく一部のサクセス本」のようであった。そういうのは、知性があれば、選ばないだろうと思う。

 前置きが長い(笑)。毎日ウンカのごとく(他に表現が思いつかない(笑))出る自己啓発系の本の中で、いわゆる「一発屋」(たいていは、「柳の下ねらい」の本を数冊出しているが)ではなく、信頼できる著者たちがいる。ざっと思い浮かべるに、茂木健一郎と齋藤孝がまず挙げられる。2人は、結局、同じことを言っているような気がする。前者は、脳学者としての立場から、後者は、子供も含めた教育者としての立場から。結局、彼らが言っているのを、「出力せよ! 出力しつつ考えろ!」
 立場の違いから、当然、書き方のスタイルはちがってくる。よりおとな向けには、茂木健一郎だろう。

 人はなぜ勉強するのか? てっとり早く、勝ち組になるためか? いや、人生を、より充実させ、生きる喜びを見つけるためだろう。そのための勉強を、茂木は「ことば」との関わりを掘り起こすように「指南」している。ここが、凡百の自己啓発本との違いである。しかもやさしい表現で。

 かつては、こういう内容(いわば、知識人の「企業秘密」のようなもの)は、自分だけが握りしめて、他人には明かさなかっただろう。しかし、茂木は、良心的に、かつ、謙虚に明かしている。これは、齋藤孝にも言えるが。「東大へ行けなかった」人も、よい師、よい環境になかった人も、インターネットなどのおかげで、かつての学者と同じような環境で、勉強が始められる。どんな歳でも遅いということはない。生きる喜び、それは、脳の喜びでもある。

 いわゆるアカデミックな本ではないが、座右においてよい、と思える濃い内容である。とりあえず、どんなことでも、「マネして」みよう!
 ちなみに、私は、氏推薦の、広沢虎造の浪曲をiTuneで買って聴いてみたが、なんとも新鮮で、アタマがクリアになった。こういうのを、「脳が喜ぶ」というのだろう。

****

 「お写真」は、わん太と、咲き始めた梅を見る(@福岡城梅園)

Ruki1_5

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2010年1月 | トップページ | 2010年3月 »