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2010年2月 1日 (月)

茂木健一郎著『「読む、書く、話す」脳活用術』

 自己啓発系の本が書店の一角を占め、しだいに広い範囲に、あたりまえのジャンルとして位置を占めるようになってから久しい。ビジネスで成功した人々の「サクセスへ道」、億万長者の「金持ちになる本」、「東大」と銘打った「学習指南書」……などなど、世の中、どうも、勉強しないことにはにっちもさっちも行かないらしい。というのも、情報洪水の中を、ノアのように、泳ぎ切らなければならないから。
 一方で、自己啓発本の「ウソ」を「科学した」本もある。一応見てみたが、対象は、「ごく一部のサクセス本」のようであった。そういうのは、知性があれば、選ばないだろうと思う。

 前置きが長い(笑)。毎日ウンカのごとく(他に表現が思いつかない(笑))出る自己啓発系の本の中で、いわゆる「一発屋」(たいていは、「柳の下ねらい」の本を数冊出しているが)ではなく、信頼できる著者たちがいる。ざっと思い浮かべるに、茂木健一郎と齋藤孝がまず挙げられる。2人は、結局、同じことを言っているような気がする。前者は、脳学者としての立場から、後者は、子供も含めた教育者としての立場から。結局、彼らが言っているのを、「出力せよ! 出力しつつ考えろ!」
 立場の違いから、当然、書き方のスタイルはちがってくる。よりおとな向けには、茂木健一郎だろう。

 人はなぜ勉強するのか? てっとり早く、勝ち組になるためか? いや、人生を、より充実させ、生きる喜びを見つけるためだろう。そのための勉強を、茂木は「ことば」との関わりを掘り起こすように「指南」している。ここが、凡百の自己啓発本との違いである。しかもやさしい表現で。

 かつては、こういう内容(いわば、知識人の「企業秘密」のようなもの)は、自分だけが握りしめて、他人には明かさなかっただろう。しかし、茂木は、良心的に、かつ、謙虚に明かしている。これは、齋藤孝にも言えるが。「東大へ行けなかった」人も、よい師、よい環境になかった人も、インターネットなどのおかげで、かつての学者と同じような環境で、勉強が始められる。どんな歳でも遅いということはない。生きる喜び、それは、脳の喜びでもある。

 いわゆるアカデミックな本ではないが、座右においてよい、と思える濃い内容である。とりあえず、どんなことでも、「マネして」みよう!
 ちなみに、私は、氏推薦の、広沢虎造の浪曲をiTuneで買って聴いてみたが、なんとも新鮮で、アタマがクリアになった。こういうのを、「脳が喜ぶ」というのだろう。

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 「お写真」は、わん太と、咲き始めた梅を見る(@福岡城梅園)

Ruki1_5

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