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2010年3月12日 (金)

『小説家になる!―天才教師 中条省平の新人賞を獲るための12講』(メタローグ)

 私は、この著者にはそれほどよい印象を持っていなかった。蓮實重彦のエピゴーネンとか、今は亡き自称「天才エディター」の……安原某氏と同類……。しかし本書を読んでまったく感心した。かなり古い本だが、なぜか(笑)家にあったのをふと、手にとって読み始めたのだ。たぶん、その当時は、Amazonに書いている否定的なレビュアーの方と同じような印象(実際に小説を書く参考にはならない……等々)を持ったので、どこかの片隅に追いやってあったのだと思う。

 いま、この時代……齋藤孝や、茂木健一郎が、さかんに「型」を身体に染みこませることの大切さを説いている。実は、中条氏も、同じことを言っていたのだ。本書に解説されているのは、小説の「構造」である。それが「型」なのだ。それさえ、染みこませておけば、あとは、何を書いても、それこそ、自由なのだ。

 確かに、「小説の書き方」を指南している作家の方々は多い。その点、中条氏は実作者ではない。しかし、本書を読めばわかるように、そんじょそこらの作家より、はるかに多くの小説を読み、読み込んでいるのがわかる。本書にもあったように、「読みたい小説が多すぎて書いているヒマなどない」。そうでしょうとも。この人はほんとうに、小説を、映画を、愛しているんだなあと思う。その愛は、ハンパでない。ゆえに、「天才」なのだ。

 どこがすごいと言って、それぞれの作家について分析している箇所が、そのまま、独立した作家論として通用するのではないかと思われる深さを持っているところである。
 こういう教師の講義を、本で受けられるのは、まったくすばらしい。そのことが理解できれば、あなたは、「作家」になれる!

 とくに、石川淳に関する見解には、舌を巻いた。永井龍男、深沢七郎の小説の分析もすばらしい。

 映画への考察もするどい。専門のフランス文学もかなり読み込んでいるようだ。なのに、世間の評価は……あんまり高くないような……。なんでだろ~?♪ なんでだろう~?♪

 残念ながら、Amazonでは、「現在お取り扱いしていません」そうだ。どこかで文庫になっているだろうか?
 中条氏のほかの著書も読みたくなって、Amazonで探してみたが、タイトルからして、同工異曲……のようなものが多いような印象だ。「レクチャー」などと、実用書の装いで、もしかして、本書が一世一代の代表作だったりして……(笑)。

*****

 けふの「お写真」は……私が作った、そば粉のパンケーキとりんごソースです。色があんまりおいしそうではありませんね、そば粉のパンケーキの。

Img_2010


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