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2010年3月

2010年3月13日 (土)

35年前に見たフィルム

  Le Monde.frのブログで懐かしいフィルムが紹介されていた。当時大学生だった私(笑)は、アテネフランセへ通っていた。そのときの催しで、今は亡き、映画評論家の佐藤重臣(こういう字だったか……?)が、解説入りで、氏が個人的に所有していた映画を上映してくれた。
なにしろ、個人で持っているのだから、劇場ではとても上映できないフィルムばかりで、要するに前衛すぎるものだった。そのうちのひとつが、すでにYouTubeでも見られるようになったこれ↓、 Stan Brakhage Wondow Water Baby Moving (1959)

Stan Brakhage 監督が夫人の水中出産のシーンを撮ったものであるが、やはり感動的である。
 当時は、前衛というジャンルがりっぱに独立してあり、過激とか、そういうことは、今ほど騒がれなかった……ように思う。でも、もうネットで、誰でもが「所有できる」時代になっちゃったんですね〜。佐藤重臣という映画評論家もかなりユニークで、ああいうひとは、映画評論家としても、もう「絶滅種」でしょう。

http://www.youtube.com/watch?v=yxE3rI-LWm4&feature=player_embedded

あ〜なつかしい〜!!!

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2010年3月12日 (金)

『小説家になる!―天才教師 中条省平の新人賞を獲るための12講』(メタローグ)

 私は、この著者にはそれほどよい印象を持っていなかった。蓮實重彦のエピゴーネンとか、今は亡き自称「天才エディター」の……安原某氏と同類……。しかし本書を読んでまったく感心した。かなり古い本だが、なぜか(笑)家にあったのをふと、手にとって読み始めたのだ。たぶん、その当時は、Amazonに書いている否定的なレビュアーの方と同じような印象(実際に小説を書く参考にはならない……等々)を持ったので、どこかの片隅に追いやってあったのだと思う。

 いま、この時代……齋藤孝や、茂木健一郎が、さかんに「型」を身体に染みこませることの大切さを説いている。実は、中条氏も、同じことを言っていたのだ。本書に解説されているのは、小説の「構造」である。それが「型」なのだ。それさえ、染みこませておけば、あとは、何を書いても、それこそ、自由なのだ。

 確かに、「小説の書き方」を指南している作家の方々は多い。その点、中条氏は実作者ではない。しかし、本書を読めばわかるように、そんじょそこらの作家より、はるかに多くの小説を読み、読み込んでいるのがわかる。本書にもあったように、「読みたい小説が多すぎて書いているヒマなどない」。そうでしょうとも。この人はほんとうに、小説を、映画を、愛しているんだなあと思う。その愛は、ハンパでない。ゆえに、「天才」なのだ。

 どこがすごいと言って、それぞれの作家について分析している箇所が、そのまま、独立した作家論として通用するのではないかと思われる深さを持っているところである。
 こういう教師の講義を、本で受けられるのは、まったくすばらしい。そのことが理解できれば、あなたは、「作家」になれる!

 とくに、石川淳に関する見解には、舌を巻いた。永井龍男、深沢七郎の小説の分析もすばらしい。

 映画への考察もするどい。専門のフランス文学もかなり読み込んでいるようだ。なのに、世間の評価は……あんまり高くないような……。なんでだろ~?♪ なんでだろう~?♪

 残念ながら、Amazonでは、「現在お取り扱いしていません」そうだ。どこかで文庫になっているだろうか?
 中条氏のほかの著書も読みたくなって、Amazonで探してみたが、タイトルからして、同工異曲……のようなものが多いような印象だ。「レクチャー」などと、実用書の装いで、もしかして、本書が一世一代の代表作だったりして……(笑)。

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 けふの「お写真」は……私が作った、そば粉のパンケーキとりんごソースです。色があんまりおいしそうではありませんね、そば粉のパンケーキの。

Img_2010


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2010年3月 9日 (火)

『ハートロッカー』祝キャスリン・ビグロー!

 なぜ本作がアカデミー作品並びに監督賞か。一部、あまりわかってない方々がいらっさいますようなので、本作がなぜ、本年度のアカデミー監督賞、作品賞に輝いたか、解説したいと思います。

 映画というか、芸術作品の使命として、「今」を語らなければならないというのがあります。現在、この世界で何が起こっているか。単純な観客は、それなら「ドキュメンタリー」という手法がいいと思うでしょう。しかし、ドキュメンタリーのように、「実際」現場に行って、「現実」を撮ったのでは、なにが起こっているかなど、存外見えにくいのです。たとえば、テロ事件があったとして、その現場に居合わせた人々、プロの爆発物処理係、彼の心のうち、彼をとりまく人間関係、現地の人々の状態……などが、「手にとるように」見えますか? おそらくは、なにかあるにはあるが、まだるっこしい映像があるだけでしょう。

 フィクションはときとして、もっと効果的に現実をあぶり出します。ドラマの構成、演出、編集、役者の演技によって、観客は、まるで自分が現場にいるかのように感じることができます。

 キャスリン・ビグロー監督は、詳細な情報と技術を積み重ねて、ドキュメンタリーよりもリアルなドラマ作りに成功しています。
 映画はなにより、俳優によって変わる。誰もが顔を知っている、ガイ・ピアース、レイフ・ファインズ、などの「スター」を脇に配し、あまり顔の知られていない、ジェレミー・レナー、アンソニー・マッキー、ブライアン・ジェラティの3人の俳優を、物語の中心人物として採用している。この3人の持ち味、描かれ方がとてもいい。主役の「一見」命知らずの爆発物処理の軍曹、ジェレミー・レナーは38歳、あまり現場慣れしていないウブな感じの技術担当兵士役の、ブライアン・ジェラティは、かなり童顔で、ほんとうは35歳。そして、「一見」冷静なアンソニー・マッキーがいちばん若くて30歳。おそらく物語で設定された年齢より、若い役を演じているのだと思う。現実には、こうした経験を経た役者たちの、しっかりした演技力があってこそ、物語の土台を支え、リアルさを出すのに成功している。

 女性初の監督賞受賞だとか、「クーガ」映画より、さらに、力づけられました。

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 「お写真」は、「ひなたぼっこする、わん太嬢」

Img_2035


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