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2010年3月 9日 (火)

『ハートロッカー』祝キャスリン・ビグロー!

 なぜ本作がアカデミー作品並びに監督賞か。一部、あまりわかってない方々がいらっさいますようなので、本作がなぜ、本年度のアカデミー監督賞、作品賞に輝いたか、解説したいと思います。

 映画というか、芸術作品の使命として、「今」を語らなければならないというのがあります。現在、この世界で何が起こっているか。単純な観客は、それなら「ドキュメンタリー」という手法がいいと思うでしょう。しかし、ドキュメンタリーのように、「実際」現場に行って、「現実」を撮ったのでは、なにが起こっているかなど、存外見えにくいのです。たとえば、テロ事件があったとして、その現場に居合わせた人々、プロの爆発物処理係、彼の心のうち、彼をとりまく人間関係、現地の人々の状態……などが、「手にとるように」見えますか? おそらくは、なにかあるにはあるが、まだるっこしい映像があるだけでしょう。

 フィクションはときとして、もっと効果的に現実をあぶり出します。ドラマの構成、演出、編集、役者の演技によって、観客は、まるで自分が現場にいるかのように感じることができます。

 キャスリン・ビグロー監督は、詳細な情報と技術を積み重ねて、ドキュメンタリーよりもリアルなドラマ作りに成功しています。
 映画はなにより、俳優によって変わる。誰もが顔を知っている、ガイ・ピアース、レイフ・ファインズ、などの「スター」を脇に配し、あまり顔の知られていない、ジェレミー・レナー、アンソニー・マッキー、ブライアン・ジェラティの3人の俳優を、物語の中心人物として採用している。この3人の持ち味、描かれ方がとてもいい。主役の「一見」命知らずの爆発物処理の軍曹、ジェレミー・レナーは38歳、あまり現場慣れしていないウブな感じの技術担当兵士役の、ブライアン・ジェラティは、かなり童顔で、ほんとうは35歳。そして、「一見」冷静なアンソニー・マッキーがいちばん若くて30歳。おそらく物語で設定された年齢より、若い役を演じているのだと思う。現実には、こうした経験を経た役者たちの、しっかりした演技力があってこそ、物語の土台を支え、リアルさを出すのに成功している。

 女性初の監督賞受賞だとか、「クーガ」映画より、さらに、力づけられました。

*****

 「お写真」は、「ひなたぼっこする、わん太嬢」

Img_2035


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