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2011年8月22日 (月)

『実力大競争時代の「超」勉強法』──用い方にご用心!

 『実力大競争時代の「超」勉強法』(野口悠紀雄著、幻冬舎、2011年3月刊)

 経済学ほど定説が定まらず、またいいかげんなことを言っても通る世界はないのではないだろうか? それとはあまり関係ないかも知れないが、英文法の世界も、何が正解なのか、際限のない世界だそうである。
 「野口悠紀雄」というブランドは、ピンからキリまでいる著者のうちでは、良心的で信頼もおける。だから、氏の勉強本はほとんど買ってきた。本書は、以前に講談社から出て、今は文庫本になっている『「超」勉強法』と同内容かなと思って、発売当時は素通りしてしまったのだが、知人に教えられて読んでみた。題名こそ同じものがついているが、内容は、さらに深く、同時に、経済学のアウトラインも学べるようになっている。勉強すること、何かを知りたいという欲望は、人間が本来持っている生存欲の一つであり、いくつになっても学び続けるべきだ。自分はこのように勉強している。……など、持てる情報等も気前よく公開していて共感できる。
 とくにモデル思考を推奨している点、戦略としての勉強を強調している点は、他の勉強本にはない、深い示唆である。
 しかしながら、勉強を推奨し、学力の落ちてきた日本の状況を憂慮し、詳細なデータを援用しながら世界の知的状況を紹介するのはいいが、氏の思想をそのまま受け入れるわけにはいかないようにも思う。氏は、ともすれば、学歴重視、ブルーカラー切り捨ての思想をよしとしているとも見受けられる。かなり納得のいく形で説明されているが、読み方をひとつ間違えれば、読者はどこかの大学院へ向かって突っ走らないともかぎらない。
 経済学はすばらしい学問であるが、しかし、世の中、経済学だけで成り立っているものでもなし、また、その経済学も奥が深いので、野口悠紀雄の説のみが正しいとも言えないだろう。こと、リカード説の援用はいいが、べつの人々は、マルクスこそ今必要だと言っているのである。ワタシ的には、野口氏が、あまり必要ないとした、微分的分析が、野口氏が重要視している「ソリューション」を求めるには必要だと思う。

実力大競争時代の「超」勉強法Book実力大競争時代の「超」勉強法

著者:野口悠紀雄
販売元:幻冬舎
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