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2011年12月

2011年12月18日 (日)

『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』──最先端のスパイ

『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』ブラッド・バード監督

 国と国の関係は複雑になり、そう簡単には、一国=敵にはならない時代になって久しいが、世の中、ワルモノがいるかぎり、スパイ映画のタネ=ネタはつきない。スパイ映画は、時代との勝負である。時代に遅れてしまったら、もう観客を惹きつけることができない。
 だが、49歳のトム・クルーズはやってくれる。007のように、美女と戯れるヒマもなく全力疾走する。それがすがすがしい。世界最高層のビルを、「素手」で、よじ登る、ハイテク+ローテクの、スイッチングも、ただ荒唐無稽に終わらないリアルさがある。さりげなく背景で、変装マスクが製造される科学的リアリティにも配慮が行き届いている。トムのチームメンバーとなる俳優たちの顔ぶれもフレッシュである。
 そして、毎度お馴染みの、オープニングのあのテーマ曲、アレンジも最先端の雰囲気を漂わせる。誰でもに、「スパイになりたい」と思わせる興奮の2時間である。それにしても、なぜ、イーサン・ハントは、ロシアの刑務所にいたのか? その「はじまり」も隙がない。

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2011年12月12日 (月)

『京のおかず 四季のかんたんレシピ124』──プロが教える家庭料理の極意

 『京のおかず 四季のかんたんレシピ124 』(村田吉弘著、阪急コミュケーションズ、2007年刊)

 料理研究家を研究しています(笑)。本書の村田吉弘氏は、老舗料亭の主人で、栄養士系の料理研究家とも、カリスマ主婦系の料理研究家とも違います。そこには、プロならではの、「判断」が働いています。私たち家庭人がほしいのは、「プロのレシピ」ではなく、「プロの判断」です。では、「プロの判断」とななにか? それは、簡単でおいしい料理を作る際、省いていいところと、手をかけた方がいいところを知ることです。
 俗に、東日本=濃い味付け、西日本=薄い味付け、というのは、必ずしもこの通りではないと思います。現に九州では、とても味付けが濃いです。これは、少しのおかずで、たくさんご飯を食べようとしたためなのか、どうかわかりませんが。とにかく、村田氏のレシピが平均的に薄味なのか濃い味なのか知りませんが、そこは、作り手が好みに変えればいいと思います。料理書のレシピというのは、水も調理道具も違う人たちが使うのだから、必ずしも守らなければならないというものではないと思います。では何を学ぶのか? それは、食材のとりあつかい方だと思います。とくに、京料理は季節感を大切にします。たとえば、冬ならば、ゆずを、大根の煮物などにあしらうだけで、どこか豊かな感じになります。本書は、著者も書いているように、肉、魚、野菜等、入れ替え自由で、124のレシピそのものが、それぞれ10倍に拡がる可能性を秘めているようです。
 日本の家庭の食卓は、こういうベース=基礎があって、そのうえで、イタリアンや中華を、そのときの気分で加えていけば、栄養面でも経済面でも、時間節約の面でも、合理的かと思います。
 本書は、いわゆる、写真付きの料理書ではありませんが、シンプルなものばかりなので、かえって写真がない方が、さっぱりしてわかりやすいとも思えます。

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2011年12月 5日 (月)

「タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密」──少年の清らかさ

「タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密」(スティーブン・スピルバーグ監督)

 THE ADVENTURES OF TINTIN: THE SECRET OF THE UNICORN
 
 フランス人なら誰もが知っている、フランスのエスプリたっぷりのあの「タンタン」を、イギリス人俳優だけで演じている痛快さ。もしフランス人がフランス語で演じたら、たとえスピルバーグといえど、これほどの漫画っぽさは出せなかっただろう。これは「アニメ」ではなく、「漫画」である。古き良き、夢のある時代を匂わせつつ、紳士なセリフまわしで世界冒険に出なければならない。漫画の主人公は、「鉄人28号」(古くてごめん(笑))の正太郎クンといい、コドモなのに、職業を持っていたり、車の運転をしたり、ピストルを持っていたりする。すべて、「少年の夢」の世界である。

 わがタンタンもしかり。しかも、特ダネをたくさんものしている、有名なジャーナリスト。そんなはずはあり得ない(笑)。しかし、漫画というものは、アメリカの「カルヴィンとホッブス」しかり、少年がまるでおとなのようにふるまうものである。しかし、ではなぜ、おとなでなく、いつも少年が主人公なのか。それは、世界の清らかさを求めているからである。

 スピルバーグはそこのところをよく心得ていて、帆船が重要なテーマではあるが、間違っても、『パイレーツ・オブ・カリビアン』のように、どこか薄汚く撮っていない。悪役の犯罪者も、すべて清らかなのである。
 そして、スピルバーグは世界的な巨匠になりながら、どこかの国の黒澤明のように(笑)巨匠然とはしていなくて、常にリスクを取っている。それでこそ、真の巨匠! 「犬目線」や「鳥目線」のデティールにも感心した。

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