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2013年3月 5日 (火)

『日本銀行は信用できるか』──徹底した「日銀研究」は、『田中角栄研究』に匹敵するかも

『日本銀行は信用できるか』岩田規久男著(講談社新書、2009年8月刊)

 安倍晋三支持でもなく、経済学に詳しいわけでもないが、岩田規久男氏の著書(一般向けの新書など)は、構成、説明が冷静かつ論理的で、素人にもわかりやすいので、巷の経済論のベーシックとして愛読している。氏は長年、今の日本の経済危機に関して、氏なりの見解を、新書などで説明し続けている。

 世間では、エコノミストと名のつく人々が、あるいは、名のつかない、いったいどういう資格で書いているのか、よくわからない人々までもが、今の日本の経済的状況に関して、いろいろ本を出している。そんななかで、著者が、日銀副総裁の候補にあがっているということで、あわてて、積ん読棚に置いてあった本著を読んでみた。読んでみてびっくりである。

 日本銀行の意志決定を行う人々が、「前例主義」によって、東大法学部卒で、しかも、大蔵省(財務省)にトップに近い成績で入った人々に限られている。しかし、経済学に関しては、専門的知識もキャリアも持っていない。日銀法によって、決定権のある、総裁、副総裁(2名)、審議委員(6名)は、「経済又は金融に関して高い見識を有する者その他の学識経験者」と決められているそうだが、それにもそっていないこと。その日銀法は、妙な独立性が保証されていて、政府が関与できないこと。……

 これらは、欧米の中央銀行からは、考えられないことらしい。また、問題の、デフレ脱却のための金融緩和も、欧米の中央銀行では、当然の政策として取られているいるのに、わが日銀では、「前例主義」のため、それさえも、簡単にはできないこと。

 今、世間は、反リフレ派だの、反アベノミクス派だの、かの、野口由紀雄センセイをはじめ、かまびすしい。野口氏の『金融緩和で日本は破綻する』みたいな新刊が出ているが、目次をざっとみたかぎり、なんら有効な結論は出していないし、目次だけではなにを言いたいかわからないようになっている。

 本書は、単に声高に、日銀を改革し、2%程度のインフレを目指すべきだと主張しているだけでなく、難しい経済理論を、すっきりとまとめてもいる。従って、これ1冊でおおかたのことがわかるだろう。4年近く前の本ではあるが、今でもなんら時差は感じられない。状況はむしろ、本書の必要性を示している。とくに感心するのは、徹底した「日銀の研究」である。この執拗さは、立花隆氏の『田中角栄研究』に匹敵するかも。岩田氏の具体的な「日銀研究」に比べたら、野口由紀雄氏が日銀に関して述べていることは、抽象的な論議のように見える。

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