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2013年3月14日 (木)

『世界基準で夢をかなえる私の勉強法』──Success is a choice

『世界基準で夢をかなえる私の勉強法』北川智子著(幻冬舎、20132月刊)

 本書の前に、新潮選書から出た、同著者の、『ハーバード白熱日本史教室 』は、サンデル教授のベストセラーに便乗した題名といい、著者の学問の日本史と著者自身のキャリア紹介が混じり合った、「ひどい編集」の本であった。これは、著者にも責任があるのかもしれないが、まあ、編集者も悪いのでしょう。どうも新潮選書は、小谷野敦氏の『日本人のための世界史入門』といい、「玉石混交」の、石の部分がひどすぎる。ほとんど、本とは言えない内容のものまで、無理やり本という形にしてしまっている感がある。

 その点、本書は、著者がいかに、外国の大学でキャリアを築いていったかが、その勉強方法を中心に、具体的に詳細に披露されている。誰しも、このような若さで、自由に学問を謳歌できたら、と心からうらやましくなる。しかも、それが女性であるなら、いろいろ「ねたみ」のレビューもあるだろう。いかに、アメリカの学会で注目されていない(学問の分野、学者の数から考えたら、あたりまえであるが)と声高に書いていらっしゃる「海外で学位をとった」(それが、本著者と同等のキャリアと言えるのか?)と書かれているレビュアーの方がいるが、本人がどう弁解しようと、やはり「ねたみ」の一変形には変わりないだろう。ただ単純にうらやましいと思うか、変にねたんでみせるか。どっちみち、普通ではなかなかできないことだから、このような本になるのだし、人々は関心を持って、いかに、そのキャリアを達成したのか知りたいと思うのだろう。

 本書の中心は、著者の独自な、そして、われわれも見習うことのできる、勉強法であり、学問に対する態度である。そして、アメリカの大学および大学院が、いかに勉強量をこなしていかなければ卒業できないかという内容が、手に取るように公開されている。これに比べたら、日本の大学や大学院はほんとうに甘い。三流大学の修士論文(文学系の)など、読書感想文である。

 それと、著者の研究内容のユニークさである。著者が、アメリカで、わざわざ日本史を専攻したのは、学問のメソッドがすぐれているからだと思う。そしてなぜ、著者が注目されたのかと言えば、もとは数学専攻であったということも関係していると思う。数学的な方法論で歴史に取り組むというやり方が、これまでの歴史学者にはない、新しいアプローチである(そこには、コンピューターを使ったものも含まれる)。本レビューのタイトルは、リック・ペティーノ氏の、『成功をめざす人に知っておいてほしいこと』(ディスカヴァー)の原題から取った。「成功は選択である」。まさに、それを地でいっているのが北川智子氏である。彼女の作った、自身の履歴グラフ(この点も理数系である)を見ればわかるとおり、節目節目で、「選択」がポイントになっている。「プリンストンで博士号」を看板に、日本での仕事もいくらもあったと思われるが、北川氏はそれを選ばなかった、というわけである。

 そして、この「世界基準」であるが、世界を意識して学問していくということである。そこを「世界的に有名」と勝手に読み違えて、ケチをつけているレビュアーがいる。

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