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2013年5月14日 (火)

『リンカーン』──やはり凡庸でないスピルバーグ

『リンカーン』スティーブン・スピルバーグ監督

 リンカーンというのは、昨今もいろいろ、映画の題材になっている。吸血鬼と戦ったり(笑)。しかし、スピルバーグが描けば、クサい伝記映画ではない。確かに、公開前の日本向け挨拶では、「彼はとっても偉大なひとなんです」って、声を大にして言っていたけど、そのわりには、エラさはそれほど強調されてなくて、ただただシルエットのようなダニエル・デイ・リュイスと、南北戦争終結前に、憲法修正第13条を可決させるまでの、反対派との攻防を描いていて、志高いものにしあがっている。

 しかし、ここで問題なのは、共和党がまるで「正義の味方」みたいに描かれていることと、「奴隷解放」によって、黒人がすぐに人間的な地位を得たわけではないことだ。とくに、その後、長い人種差別の戦いの歴史が待っている。また、リンカーンは、北部のエリートたちの経済効果を考えて奴隷解放をしたのだという事実も忘れるべきではないだろう。しかし、そこまで描き込んだら、かなり複雑になってしまうし、スピルバーグの政治的立場は、まあ、芸術にはカンケイないとしておこう。

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