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2013年6月 3日 (月)

『日本近代史 』──「世界史」の前に、「日本近代史」を!

『日本近代史』(坂野 潤治著、ちくま新書、2012年3月刊)

 2.26事件を扱った、久世光彦の『陛下』という小説を読んで、実際のところはどうなんだろう? と、やはり、買ってあった、本書を紐解いた。著者は資料を丹念に読み、分析を重ねるという手法で、「歴史を記述」していく。そう、歴史とは、なによりも「歴史家の記述」なのだ。

 昨今ともすれば、太平洋戦争が、「避けられなかった太平洋における覇権争い」だなどと、まるで、歴史をゲームのように見るような態度が当然のようになっているが、本書を読めば、ひとつひとつのできごとに、作られたドラマではない、人間の思惑が非常な複雑さで絡み合っているのがわかる。本書に比べ、教科書の歴史は、あまりに大雑把すぎるし、正確さも欠いている。

 政治家の「国際感覚の欠如」うんぬんが言われる昨今であるが、どうも、「国際感覚」よりも、もっと自国の近代史について精細に謙虚に学ぶべきであろう。

 なお、本書は、冒頭の明治維新へと至る時代から読んでいくと、あまりに入り組みすぎて、昭和に至るまでには息切れしてしまうかもしれない。オススメの読み方としては、最終章から逆に遡るかたちで読むと頭に入りやすい。あるいは、関心のある時代、事件から入っていく──。

 ひとつ難点を言えば、たとえば、本書を読んで、まるで「戦前」が、国会議員には、憲法(「明治憲法」である)で、言論の自由が保証されているからと言って、一般人民にもそれが許されていると思ったら大間違いである。本書には記述がないが、2.26事件に関連して、事件になんら関与していなかったにもかかわらず、思想的に「そそのかした」ということで、北一輝が、民間人にもかかわらず、軍法会議にかけられ、弁護人抜き、抗告抜きで、数日後に、銃殺刑に処せられているという実態もある。本書には、そうした「批判的記述」はない。

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コメント

>【ワシントン=竹内洋一】米議会調査局が日米関係の報告書をまとめ、旧日本軍慰安婦問題などをめぐる安倍晋三首相の歴史認識について「(東アジア)地域の国際関係を混乱させ、米国の国益を害する恐れがあるとの懸念を生じさせた」と指摘した。


>米有力紙にも首相の歴史認識を批判する社説が相次ぐなど、東アジアの不安定化要因として危惧する声が高まっている。



過去を学んで、未来の姿を制作する。
これは、非現実 (過去・未来) の内容を扱う学問である。英米流の高等教育である。
過去の内容があやふやでは、未来の世界の内容もあやふやになる。
小言・片言・独り言の類を使った発言では、過不足のない内容の世界観を構築することはできない。
未来における「あるべき姿」を主張できないから、過去における過ちにも結論をつけられない。


現実を基準にとれば、’事の次第’しか出てこない。だから、’過ち’の断定はなく、その行動は改められない。

日・中・韓の言語 (文章) には、時制 (現在・過去・未来の区別) がない。
これは、特亜三国の特徴か。揉め事はあっても、共同作業はない。現在 (現実の中) をさまよっている。
哲学を合わせなければ、理想 (非現実) を実現 (現実化) する共同作業に力を合わせることは難しい。
君子は和して同ぜず。小人は同じて和せず。


日中韓は和せず同ぜず。和をもって尊しとなすか。
夢もなければ希望もない生活が続いている。閉塞感に陥る。
頼るは、信にしくはなし。英語を使って、頭を鍛えるのが良い。
耐え難きを耐え、忍び難きを忍んで、もって万世のために太平を開かんと欲す。

http://www11.ocn.ne.jp/~noga1213/
http://3379tera.blog.ocn.ne.jp/blog/

 朴槿恵(パク・クネ)大統領:「北東アジア地域は経済的に依存度が高いにもかかわらず、歴史問題でかなり不安定な状況にある。乾燥した森では小さな火種一つで大きな山火事が起こりかねないように、葛藤が深刻化すれば小さな不信も大きく広がり、地域内のあらゆる国が大きな被害を受けかねない」、「信頼もある意味では慣行の一つで、習慣だ。原子力の安全管理、環境、災害などの分野で互いに協力し、信頼を積み重ねる努力をしていくことで、次第に外交・安全保障分野にまで信頼を広げていけるのでは」

投稿: noga | 2013年6月 3日 (月) 03時05分

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