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2013年7月20日 (土)

『現代思想』2013年7月号「特集ネグリ+ハート」──編集部員はほんとうに「思考」しているのか?

『現代思想』2013年7月号「特集ネグリ+ハート」(青土社)

 フランスの「現代思想」家、フーコー、ドゥルーズ、デリダなきあと、「舞台」は、イタリアに移ったかに見える。なるほど、イタリアの「現代思想家」の方が、より身近で、コンテンポランな感じがする。その百花繚乱の「イタリア現代思想家」のなかでも、アントニオ・ネグリは、主張が、「日本人にわかりやすい」。キーワードは、「マルクス主義」、「民衆」、「帝国」などである。その「ネグリさん」が、この春、日本を訪れ、3.11以後の、マルチチュード=民衆の、反原発などの運動を観察していったようである。そのインタビューや、(私は知らなかったが)フクシマの草の根女性隊を牽引しているらしい、上野千鶴子センセイの講演の原稿などが載っている。ネグリは、日本を、「原子力国家」と規定し、その権力は、外部へというより、内部に向かうと指摘しているところは興味深い。しかし、である、なんで、わざわざ、「外国の思想家」に、日本の今の状況を分析してもらわねばならないのか。また、上野センセイの、草の根の支持はいいけれど、いつも「女」という既存の枠内でものを言っているのが気になる。私は決して保守主義者ではないが、今さら、「マルクス主義」でもあるまい。かつては、スルドイテーマを提示していたような気がする本誌『現代思想』も、どうも安きに流れているのではないか。それに、活字が小さすぎる(笑)!

 日本の今の状況を「思想」で問うなら、たとえば、古在由重が、古い岩波新書の『思想とはなにか』で問題提起しているように、

 「一九六〇年の五月一九日から一カ月あまりにおよぶ安保条約改定をめぐっての歴史の激動。これこそまさにこのような創造的な日々だった」

 「五月一九日から二〇日へかけての深夜、政府とその与党は衆議院に警官隊をひきいれ、この力をかりて悪評たかいこの条約を強行採決した」

 ちなみに、その時の、首相は、現首相の、祖父、岸信介である。

 少なくとも、日本の「現代思想」の政治的局面、あるいは、ネグリ的な思想家を呼ぶなら、そこから、思考を始めるべきではないか? 外国の運動家のオハナシばかり聴いている場合ではない。

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