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2014年1月24日 (金)

『「考える力」をつける本』──ズレまくり

『「考える力」をつける本』(轡田隆史著、三笠書房、2013年9月刊) 

 目次をざっと見て興味を引かれたのであわてて買ってしまったのだが、ゆっくり「読もうと」して開いたら、大きな間違いに気づいた。

 筆者は、現在なら77才、17年前の60才のとき、新聞社の編集委員としてコラムを書いていた。その経験で、なにか名文を書いていたような気になったのか、そういう調子で書かれた本だった。

 文体は、いわゆる新聞記者のそれ以外の何ものでもない。定年すぎても、論説委員になって新聞社に残れる「記者」は、どういう政治的手腕を使うのか? 私もフリーで、新聞のコラムは何年も書いた経験があるが、新聞のコラムというのは、一回こっきりで完結するものである。つまりそいうスタイルの思索しかできず、また、息の長い文章を書く力はつかない。本書の文章がいい見本である。17年も前の話題の人物、テーマなどが平気で出てくるが、それを図々しくも2013年に通用すると思って、「まえがき」や「あとがき」を、自慢たらたらに書いている。これがまた、ズレまくった記者の証拠である。

 まっとうな文章を書きたかったら、「新聞記者」は辞めることだと思う。

 本書はリメイク本であるが、かつて100万部も売れたというのは、ほんとうなのだろうか?

 帯に、「白取春彦氏が『アタマというものは、こう使うものだ』ということを教えてくれる最高の知的実用書」と推薦文を書いているが、白取氏の本はそれなりにためになると思っていたので、がっかりである。氏の信用度も落ちる。

 悪いけど、本書には、2014年に通用する情報は、ひとつもない。

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