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2014年8月 4日 (月)

『有元葉子の揚げもの: 家で作ってこそ、まっとうでおいしい』──天才

『有元葉子の揚げもの: 家で作ってこそ、まっとうでおいしい』(有元葉子著、東京書籍、2014年7月刊)

 有元葉子は普通の料理研究家とはどこかちがう。ずっとフォローしてきて、ときに、家族についての本を出した際には、辛辣なレビューも書いたが、毎度、料理に関する新しい本が出るたび思うのは、やはりこの人は天才ではないかということである。これまで、料理の道具、材料への取り組みなどで、もう動かしようのない常識と思われることも、新しい視点、切り口から、料理を見る目を変えてきたように思う。本書はその代表のような本である。揚げ物という、どんな料理家が取り組んでも、とくに目新しいことのないような料理法でも、これだけ新しい見方があったのかと認識をあらたにさせられた。

 まず、揚げ物こそ、家庭で作ってこそまっとうである、という考え方である。それでこそ、油も、調理法も選べるからである。それなくして、まっとうな、体に悪くない揚げ物は考えられない。なぜなら、油には、酸化が少ないオリーブ油かごま油を使うことが「お約束」だからである。オリーブ油か、ごま油を使えば、決してもたれることなく、冷めてもおいしいという。そして、材料の切り方、衣の処理等、プチトマトやブロッコリーといった、メイン料理にはなりにくい野菜を、すばらしい料理にしたてていく。

 揚げ物といえば、とかくべたべたしがちな台所周囲も、この人が扱えば、さっぱりと清潔に行うことができる。

 本のつらえも、装丁、写真等、端正で清潔で知的で、有元の思想をよく使えているといえる。凡百の「料理家」が、まさに「ごった煮」状態の今の料理界にあって、有元葉子の料理への取り組みは、ひとり凜として美しい。

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