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2014年8月22日 (金)

即興現代詩「オレンジTシャツの女」

即興現代詩

「オレンジTシャツの女」

その服は、オレンジという範疇なれど、苦いオレンジ、ビターなオレンジ色

なれど、ところどころ国防色に汚れている

誰かに、この女のことを話したい

かなり目立つ女だ

誰もが知っているにちがいない

しかし誰も話しかけない

地下街の、デパートへの入り口の、なんというか、通路に柵状のものがあって

ひとが腰かけてなにか食べたりできるくらいの場所があって、

そこで、そんなふうにする人はあまり行儀がいいとはいえない

いわば、あまりポピュラーでない場所

そこを通れば、かならず座っている女

通行人に背中を向けて、頭部を風呂敷状のもので覆って

その外形は、頭の丸みではなく、なにか、角隠しでも

つけているように角張っている

そして片手にうちわを持って、顔を隠しながら

なにか読んでいる

ほんとうに読んでいるのではないだろう

そうやって時間を潰している

下半身は黒いモンペ状のものを掃いている

その女は今日も、オレンジ色のTシャツだった

国防色の汚れは日に日に増えていっている

そのTシャツ一枚しかないのだろうか?

荷物のようなものを身のまわりにおいているが

着替えは入ってないのだろうか?

手は、異様に白く、炊事などの形跡はない

ホームレスというには、あまりに同じ場所におり

その場が「閉まれば」、立って、所在なげに、反対側のスーパーの入り口の壁にある、ビデオのコマーシャルを見ている

しかし、ほんとうは、何も見ておらず、ただ時間が経っていくのを

待っているのだろう

博多には、そういう女がままいると聞く

かつては娼婦だった女

あるボランティアのオバサンが何気なく話してくれた

話が耳に残っている

「親子で売られてきて」……

そのオレンジは最後に、どんな色になるのだろうか?

べつの色への変わり目は……

その服装の内部には……

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