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2014年9月10日 (水)

東浩紀『弱いつながり 検索ワードを探す旅』──看板に偽りアリ(★)

『弱いつながり 検索ワードを探す旅』東浩紀著(2014年7月、幻冬舎刊) 

 期待はずれのことが多いので、東浩紀の本はもう買うまいと思ったが、つい、帯にあった、「人間関係を大切にするな!」「友人に囚われるな!」という「コピー」につられて手に取り、冒頭の「はじめに」をざっと見て、ふだん自分の感じていたことでもあったので、より深い追求がなされているのかも、と期待して、リアル書店で本書を買ってしまった。そして、Amazonを見たら、発売されてまだそれほど経っていないのに、30個のレビューがあったので、売れているのだろうと思った(Amazonのレビュー数(「やらせ」でないもの)は、「だいたい」、売り上げの目安となる)。それで大急ぎで読んだ。

 結果は、帯に書かれていた「コピー」が、最高で(笑)、それ以上のものはなにもないどころか、それに沿った内容でもなかった。本書は、以前の『チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド』と内容的に重複しているものであり、大幅加筆しているとはいえ、出版社のPR誌(初めて聞いた名前であるが)に連載されていた、あまり問題意識を持っていない人々(主に若者)に向けて書かれたごく軽いエッセイがもとになっている。それだから、どう加筆訂正しても、奥深い内容にはなりっこない。

 他の、厳しい評価をされているレビュアーの方々(約3名ほど(笑))が書かれているように、本書は、「百聞は一見にしかず」を、「ネット」的に言い換えているものにすぎず、しかも、寺山修司の「書を捨てよ街に出よう」と同じ主張であり、寺山の方がまだ純粋なものがあった。

 著者は、東南アジアなどの、発展途上国を旅しながら、結局は、当地の高級ホテルに泊まりながら、高い料金のスマホ(スマホは、海外で使うと、wifiでないかぎり、異常に高い料金が発生する。若者のみなさん、気をつけてください)を使いまくって、これだけは、「切断しないでおくべきだ!」と、ご都合主義な主張をしている。

 著者はいかにも新しいアイディアのように、福島を観光地化するべきだと主張しているが、福島は、すでに「観光地化」され、大手でない旅行会社が、被災地をめぐり、被災者の仮設住宅で彼らの言いたいことを聞き、放射能計で放射能を測るツアーを売り出している。現に私の友人はそれに参加した。80代の老人も何人も参加していたそうである。

 また、私は、一週間前に、おもに北スペインの旅行から帰ってきたばかりだが、「均一化」されているはずの、「スタバ」などは、現地によってサービス内容が大きく異なり、そこには、現地ならではの「習慣」が生き残っている。わざわざ「偶然」に身をゆだねなくても、そこには、行ってみなければわからない生活がまだまだある。

 私は、20年前からホームページを開き、ネットにアクセスしているが、確かに最近は、均一化が著しい。昔は、検索エンジンは、exiteなど、自分で登録しなければならなかった。そんな私が危惧するのは、検索は場所や言葉を換えても、エントロピーの増大(均一化)から逃れられないということである。

 著者は、妻子を持ち、つまり、普通なら小市民化してしまうところを(そうなった方が家族的には、幸せなのだ)、なんとか、前衛であろうとイキがっているように見える。本書の文章は、なによりその「言い訳」めいている。

 若者よ! 騙されてはいけない! 著者は、何も手放してはいないフツーの家族持ちの、しかも一般市民よりは多少ゴージャスなことができる、オジサンなのだ(笑)。

 

 で、まあ、星2つかな〜と思ったが、星5つの人もかなり多く、「平均点」が高めになっているし、星1つが1つもないので、やはり星1個にした(笑)。

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