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2014年10月14日 (火)

『ファーナス/決別の朝』──クリスチャン・ベイルの美

『ファーナス/決別の朝』(スコット・クーパー監督、2013年)

 これ以上にない豪華キャストが、これ以上にない地味な映画を作った──。やはりアメリカ映画は「地方の時代」で、ここでも、「アメリカンドリーム」などとはまったく無縁な、もしかしたら、日本の地方都市にもあるかもしれない、暗くて寂れた地方都市というか、田舎町が舞台である。日本とちがうところは、とにかくアメリカは広いので、田舎町もそれなりに広くて、「深い」。何世代にもわたって住み続け、自分たちの掟を持っているディープ・アメリカ。

 「弟顔」のケーシー・アフレックは、やはりここでも、弟で、イラク戦争に何度も送られ、精神的トラウマを抱えているが、それがそれほどハデに描かれているわけではない。主人公は、やはり「長男顔」のクリスチャン・ベイル。彼が美しい。もともと欧米人のなかでも彫りの深い顔立ちに、さらに陰影を加えている。感情を抑えた表情も、抑制が利いて見るものを引きつける。

 結局このドラマ、登場人物はかぎられている。地元のワルに、ウッディ・ハレルソン、中くらいのワル(笑)に、ウィレム・デフォー、無骨だけど、悪い人間ではない警官に、フォレスト・ウィテカー、主人公のネイティブ・アメリカンの恋人に、『アバター』のゾーイ・サルダナ、主人公の叔父に、サム・シェパード。これだけの人物だけの間で、かなり抑えたドラマが演じられる。

 簡単に言ってしまえば、復讐劇だが、それがどうしようもない地方のリアルな生活のなかで演じられるというそれだけのハナシ。よくこんな地味なハナシを、ディカプリオやリドリー・スコットが製作に回って作ろうとしたものだと感心しする。しかし、監督のスコット・クーパー、ワンカットの無駄も見せず、声高に叫ぶこともなく、アメリカが持っている問題を、映像美に転換したものだと、これまた感心。

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