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2015年4月28日 (火)

大石良雄へのソネット

「大石良雄へのソネット」

夕闇の底冷えのする江戸の町をさまよい、

大石はふと思うのだ。

もしも、ああした事件がなかったら、

ただの昼行灯と呼ばれる平凡な男として、

生を終えたに違いない。

彼の胸に甘くよぎるのは、血まみれの大八車、

殿の、切り離された頭と体が載っていた、ではなく、

鈴ヶ森で鳴く烏たちでもなく、

山科で契った女でもなく、マーラーの交響曲第一番。

いまの聖路加病院のあたりが、殿が切腹された場所。

大石は二年後、自分の息子を含む四十五人の家臣とともに、同じ最後を遂げた。

四十六人の戒名すべてに、「刃」という文字が入れられている。

それは大石の望むところではなかった。

彼はむしろ「夢」と。

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