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2015年5月 9日 (土)

『女神は二度微笑む』──サタジット・レイを観なおすべきか?(★★★★★)

『女神は二度微笑む』(スジョイ・ゴーシュ監督、2012年、原題『KAHAANI』)

 IT立国インドの底力を見せつけた映画。よくできた脚本をもとに、演出もカメラワークも一流。俳優の演技力もハリウッドにひけを取らない。極上のミステリーながら、民族的アイデンティティもしっかり保持し、キリスト教より古い、ヒンドゥー教文化をこころゆくまで堪能させてくれる。

 舞台は、コルカタ。昔はカルカッタと英語読みで呼ばれた、インド第三の都市だ。そこは地下鉄もあれば、IT研究所もある、欧米の都市と引けを取らない街ながら、いまの中国とは逆で、近代的なインフラの上に、数千年の民族文化をのっけている。そんな場所が舞台。イギリス在住のコルカタ出身の身重の女性が、この街で行方不明となった夫を捜して、まずは空港からすぐ地元の警察へ。そこの警察官を中心に物語は動いていく。男尊女卑のイメージを勝手に持っていたが、当地の男性たちはなかなかフェミニストである。夫が泊まっていたとされる安宿に滞在し、警察の協力もあおぎながら、独自の調査を開始する美しきヒロイン。プログラマーなので、ハッキングも武器のひとつである。どんなハードな状況にもひるまず、街かどの子どもや老人を、温かい人柄で味方につけていく。

 だが、物語は迷宮にようになっていく──。どんでん返しにつぐどんでん返し。最後の最後まで来て、「ああーっ!!!」と思いもよらぬ結末。そのとき、観る者は、ミスディレクションを取らされていたことに気づく。思い返せば、小さなエピソードのひとつひとつが伏線であり、意味を持っていた。そして、ヒロインは、ハリウッドのアクションものの誰よりかっこいい。

 ほぼ全編、当地の言葉、ベンガル語で展開される。しかし、ベンガル語を話す人口は、主に話されているバングラディシュを含めて、二億人という。ノーベル賞詩人、タゴールも、ベンガル語の詩人だった。そして、あの、インド映画の巨匠、サタジット・レイを生んだ都市、それがコルカタだったのだ。ここへ来て、やはり、サタジット・レイを観なおすべきかと、自問するのだった。

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