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2015年7月20日 (月)

『神々のたそがれ』──あらゆる快楽を拒絶する映画(★★★★★)

『神々のたそがれ』(アレクセイ・ゲルマン監督、2013年、原題『TRUDNO BYT BOGOM/HARD TO BE A GOD』)

 このレビューを書く前に、ほかの方々が書かれたものを、いつもよりたくさん、5〜6個読ませていただきましたが、星の数は1つから5つまでいろいろありますが、今回にかぎり、どのレビューも「正しい」(笑)。つまり、正しいことを必然的に言ってしまう映画ということになる。口当たりのいい作品、わかりやすい構図のなかにきっちり収まってしまう映画がほとんどの昨今、本作のような作品は、貴重というか、やはり哲学になりえているのではないかと思う。というのも、見た直後は、確かに、嫌悪感が支配する。しかし、それはやがて、なぜ? ……という思考へと変わっていく。つまり、見た人に考えるということをさせる映画である。

 作品じたいは、一応SFである、どこか地球以外の星のできごとである、地球人がそこへ上陸し、調査といいながら、その星の人々を支配している──といった予備知識だけが、この映画の、「枠」となっていて、それを知らないならば、ここでいったい何が起きているのかは理解不可能。

 どこか、シェークスピアの時代、劇を思わせるような風俗が各所に残る。「暴君」のような男を中心に、人がやたらと処刑されたり、暴力をふるわれたり。街路はぬかるみ、やたらと登場する糞尿が泥と入り混じる。処刑された人間や動物が、「上」から垂れ下がっている。ボッシュの絵のような風景。鎧、魚の鱗を思わせる手甲、降りしきる雨、「秋がきた」と主人公の男は何度も言うが、秋を思わせるものは、よくわからない。主人公の「神=地球から来た調査隊の学者らしい」が吹く、クラリネット様の楽器の音色が唯一「秋」のようでもある。その音色は、作品の終わりの、雪の降りしきる「冬」でも、ひきつづき鳴りひびくが──。

 ミシェル・フーコーは、「やがて人間という概念も終わるだろう」と『言葉と物』のなかで書いているが、その「終わった」姿なのかもしれない。概念(言葉)は終わっても、肉体(物)は、在り続ける事態とは、いかなることか。

 本作の汚さに比べたら、これまで見てきたあらゆるエログロの映画は美しく見える(笑)。これでもかの3時間に、あなた耐えられるか?

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