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2016年10月12日 (水)

『真田十勇士 』──人は見た目が九割?(笑)(★★★★★)

『真田十勇士 』(堤幸彦監督、2016年)

 もともと舞台劇だったというが、映画の方が断然面白いに違いない。ベースは時代劇であり、考証も外しているわけではないが、思いっきり脱構築している。初めはアニメから始まり、それが結構続くので、「本編はアニメではありません。数分後に実写に変わります」などという「注意書き」まで登場。

 まあ、なんといっても、いきなり、真田幸村がチョーイケメンだったらどーする? ってな設定できた。誰が見てもチョーイケメンで、しかもそれなりの成熟した男となると、そんな俳優、日本にいたかな〜? イタリアならともなく。と思っていると、いたんですね、これが。イタリア映画に出しても恥ずかしくない男。加藤雅也。あ、そーいえば……。そういう人が……。しかし、この人、年取った今の方が、グンといいんですね。それを「利用」した作品。

 顔よし、スタイルよし、で、どうしても「りっぱな武将」と見られてしまう幸村。実際は、優柔不断な男。でも実は、誠実で正直な男。そんな幸村を見込んで、「抜け忍」猿飛佐助(中村勘九郎)が、勇士たちを集める。なかでも、すばらしく魅力的なのが、同じ「抜け忍」の、霧隠才蔵の、松坂桃李。なんか、霧も滴る(?)いい男なのである。忍者のボス(伊武雅人)の娘の忍者、蛍(大島優子)が惚れる。

 徳川家康が豊臣の残党、秀賴の大阪城を攻める、大阪、夏の陣、冬の陣。もうすでに「結末」はわかっている。わかっている「結末」までをいかに描くか。それが「時代物」の手腕である。うーーーん……と唸ったね〜。

 猿みたいな顔の勘九郎が、猿飛で、ベルサイユの薔薇のような髪型のまんまのグレーヘアのイケメン、加藤雅也が幸村で。彼に言い寄る淀君が、ぬあんと大竹しのぶである(迫力ありすぎ(笑))。結局、幸村は淀君を拒絶する。それは武士の「忍ぶ恋」(註:武士道とは?を説いた書、山本常朝の『葉隠』には、「恋の至極は、忍ぶ恋。思い死にすることこそ恋の本意なれ」とある。つまり、死ぬまで、思いを伝えずあの世へ持っていくのが最高の恋だ、と。スタンダールもこんなことは言ってない(笑))を実践しているのか? 大竹の風貌だと、そこんとこが微妙である(笑)。しかし、猿飛は、そういうことを淀君に伝えてしまう。聞いて涙する淀君。同じように、蛍にも、霧隠才蔵の「思い」を伝える。こうちらの方は、猿飛のでっちあげであった。

 しかして(なにが、しかしてだ(笑)!)、真田幸村は、見かけ通りのりっぱな武将なのであった──。しかし、物語はここで終わらない。だって、主役は、勘九郎の猿飛佐助であるから。歴史の教科書に描かれるような「正史」があり、その陰に、忍者の世界があるというのは、なかなかに面白いテーマである(ゆえに、いろいろな小説家が描いてはいるが)。まともな時代劇を期待して来た客は怒るかも知れない(笑)。

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